社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
「結論を急ぐ必要はないと思います。」

私が言うと、修努は優しく微笑んだ。

「急いでも、急がなくても、結論は同じです。
私は、佐倉を例え仕事中だけだとしても、
手放すつもりはありません。
大変、申し訳ございません。」

修努は頭を下げた。

それを見て、満井社長は、声を上げて笑った。

「ははっ
娘の言った通りだ。」

???

私たちは、顔を見合わせて、首を傾げた。

「この話を娘にしたら、絶対に安井くんは
彼女を譲らないだろうと言われました。

高校生の頃から思い続けてようやく叶った
恋だから…と、娘が言ってました。

30歳間近だというのに、未だ夢見る少女の
ようなところのある子で、困るのですが、
娘からの伝言です。

2人の揺るぎない絆に五千万の投資をしたい
そうです。」

「え!?」

私たちは、驚き過ぎて、次の言葉が出ない。
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