社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
「えっと、修ちゃ、社長は、彼女とか
いらっしゃらないんですか?」

のどか、それ、気にしてくれるの?

「家では、修ちゃんでいいよ。
社長って言われると、仕事してる気分に
なる。」

「はい。」

「で、彼女だよね?
彼女は、ここ何年もいないよ。
俺、モテないんだよね〜」

おどけて言ってみた。

「いえ、そんな事はないんじゃない
でしょうか?」

「あ、バレた?

ま、そこそこね、肩書きに寄ってくる女の
人はいるんだけど、そういう人って、もし
倒産でもして借金まみれになったら、捨て
られそうじゃん?」

ていうか、いつものどかの事が頭の片隅にあるから、誰と付き合ってもうまくいかなかっただけなんだけど。

「はあ。」

「まあ、これからはそういうめんどくさい女も
寄ってこなくなるから、ラッキーかな。」
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