社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
「別にいいですよ? 手を繋ぐくらい。」

私が笑うと、修ちゃんは、

「ほんと? じゃあ。」

とまた私の手を取って歩き出した。

「それにしても、のどか、おっきくなったなぁ。
昔は、あんなにちっちゃかったのに。」

修ちゃんは隣に並ぶ私をまじまじと見て言った。

「それ、気にしてるんだから、言わないで。」

私がふくれると、

「ごめん。そういう意味じゃなくて。」

と笑った。

「俺の記憶にあるの、のどかが中1の時まで
だから。」

「え?」

「あれ? もしかして、のどか、高校生の俺と
たまにすれ違ってたの気付いてなかった?」

「………」

全然、知らない。

「はぁ… ショック。
めっちゃかわいくなったのどかに熱い視線を
送ってたのに。」
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