社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
「それにしても、再会してまだ数ヶ月だろ?
姉ちゃん達、いつから付き合ってんの?」

遊、そこはさらっとスルーしてよ。

私たちは顔を見合わせた。

「実は、4月にはもう交際を申し込んで、
お付き合いを始めてました。
今まで、黙っていて申し訳ありません。」

「いいのよ。
のどかも、もう、いい年なんだし。
で? 式は、いつ頃になりそう?」

母が言った。

「できれば、のどかさんが20代のうちに…と
考えてます。」

そうなの?

「そうねぇ。
のどかも来週には29歳だもんねぇ。」

「お母さん!
他人の誕生日を残念そうに言うの、やめて
くれる?」

「あら、そう聞こえた?
正直でごめんなさい。」

「くくっ」

修努が笑った。

「何?」

私が聞くと、

「おばさんとのどか、話し方がそっくりだな
と思って。」

修努は、まだクスクスと笑ってる。

「だよな。
俺も、ずっとそう思ってた。」

遊まで、便乗する。

「一緒にしないでよ。
お母さんよりは、素直で優しいわよ。」

「あら、どういう意味?」

「お母さんたち、喧嘩したら、謝るのは
いっつもお父さんだし、いつでもお母さんは
女王様でお父さんは家来じゃない。」

「あら、人聞きの悪い事いわないでくれる?
うちは、ちょっとお父さんの方がお母さんの
事をたくさん好きなだけなの。」

そんな事を言われてお父さんは顔を赤くして席を立ってしまった。

「くくっ
はははっ」

修努は、思いっきり笑い出した。

「修努?」

「いや、何でもない。
くくくっ」

「何でもなくないでしょう?
何よ?」

「いや、今、俺の未来が見えた気がして。
くくくっ」

「は?」

「分かった!」

遊が声を上げた。

「お義兄さん、今、うちの父さんに自分の
将来を見たんでしょ?」

は?

「のどかも十分意地っ張りだし?
のどかより、俺の方が、たくさん好きだし?
なんだか、よく似てるな…と思っただけ
だよ。」

「修努、ひどい!」

「ごめん、ごめん。
俺は、それでものどかといたいんだから、
それでいいじゃないか。
この先、50年、ずっとのどかに振り回されて
やるから。」

「私、修努の事、振り回してる?」

そんな事、した覚えないけど…

「のどかは、何もしてないよ。
俺が勝手に振り回されてるだけ。」

「どういう事?」

「要するに、のどかはツンデレの小悪魔
だって事。」

「そんな事ないもん。
修努の意地悪。」

「ごめん。
言い過ぎた。
のどか、ごめん。」

くすっ

「嘘。いいよ。許してあげる。」
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