社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
会食後、早野社長を見送って、私は修ちゃんを後部座席に乗せようとしたが、修ちゃんは自ら、助手席に乗り込んだ。

私は仕方なく、そのまま運転席に乗り、車を出した。

言いたい事はいろいろあったが、今は運転に集中したいので、あえて言葉を飲み込んだ。

20分後、なんとか無事、家に着いた。

車庫入れは自信がなかったので、ガレージ前に駐車して、明日、修ちゃんに入れてもらう事にした。


修ちゃんは、接待の緊張が解けたせいか、酔いが回ったようで、少しふらついていた。

私は修ちゃんに肩を貸して、家に入った。

修ちゃんをリビングのソファーに座らせると、ジャケットを脱がせ、ネクタイを緩めてあげる。

すると、修ちゃんが、ネクタイに掛ける私の手を掴んだ。

「修ちゃん? どうしたの?
気持ち悪い?」

私が修ちゃんの顔を覗き込むと、そのまま手を掴んでいるのとは反対の手で抱き寄せられた。

「修ちゃん!?」
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