メガネ君は放課後ヤンキー?!
噂のシンデレラ?!
「近くの人とペア作ってー」
眩しい太陽の下、準備体操が終わると次々に出来上がっていく二人組。そして、それとは無関係に皆を眺める私。
お昼休みの後の体育。こういう時は本当に田中くんと噂になってて良かったなーって心から思う。
ボールを走って取りに行くクラスメイトを日陰から見て、レポート書くだけでいいんだもん。
父親のコネがあるお医者さんから貰った診断書を先生に提出してるから、毎回体育の授業に参加せずに見学するだけでも先生には何も言われない。
普通こんな事してたらズルいってクラスメイトとかから嫌われたりするんだろうけど、田中くんとの噂のおかげでそんなこと誰も言ってこない。
今日も日陰でさっきの昼休みに当たれなかった風を浴びる。
ただ、この時間がすごく暇なのは確かだ。
「このラリーを10回続けて、終わったチームから座って良し!行くよー!よーいスタート!」
レポートなんてすぐに書き終わるのに、体育の授業を見ているフリは一応しないといけない。暇を持て余して、ぼうっとしていると
「…村さん」
「中村さん!」
後ろから誰かに呼ばれた気がした。でも、学校内で私の名前を呼ぶ人なんてそうそう居ないし、気のせいかなと無視していた。
「中村さん!!」
肩をトントンと叩かれて、驚いて振り向くと
「田中くん!?」
「いや、そんなにびっくりしないでよ」
田中くんの白く透き通った笑顔が太陽に当たっていた。