メガネ君は放課後ヤンキー?!
佐倉咲は一言でいえばムカつく女だ。
私が持っていないものを生まれつき、
全部持っている。そんな感じがした。
そのことがめったにない有り難いことだとも知らずにいる。そんな無自覚な女だ。
だからといって佐倉咲の全てが嫌いだという風にはならない。それはそれで、妙に腹が立つ瞬間もある。
でも、なぜだか嫌いになれない。
人の懐に入るのが上手いのだろう。
それが彼女の魅力なのかもしれない。
それはそれで、もっと腹が立ったりもする。
「変わったと言えば、髪染めたよね?」
私がそう言うと佐倉咲は自分の髪を摘んで、
「あー、もう先生がうるさいんで染めました」
なんて、あっさりと言ってのけた。
校則では髪を染めること自体が禁止なはずなのに。
髪の色が人と違うことが校則違反になっているらしい。そのうち彼女のグレーがかった瞳にも文句をつけそうだな。なんて勝手に心配したりする。
「この学校、なにかが変だよね」
「ですよねー、でも染めたら先生に褒められたんで」
そんなことでドヤ顔されてもな。と思いながらも、彼女の素直さに感心した。
「なんだそれ」
私は先生に目を付けられるほど目立っていないから、大丈夫かな。
そんな風に、
彼女の話を聞いて呑気に自分のことを考えていた。