決して結ばれることのない、赤い糸
優奈とカズ。

知っている名前に、どこか安心感を得る。


「他には、だれがいっしょかな〜」


続けて見ていくと…。


「…あ……」


わたしはある名前を見つけて、息を呑んだ。

その名前に、思わず胸がトクンと鳴る。


「気づいたっ?」


わたしの隣で微笑む優奈。


あわたしの視線の先――。

そこには、【瀧隼人】の名前があった。


「…隼人!」


すぐに辺りを見回す。

近くに隼人がいるんじゃないかと思って。


…だけど、隼人らしい人物は見当たらなかった。


「もしかしたら、もう教室にいるんじゃない!?」

「そ…そうだね!」


隼人がいる…!

学校にきてるんだ!


わたしは高鳴る胸の鼓動をなんとか抑えて、足早に2年3組の教室に向かった。


勢いよくドアを開けて、教室内を見渡す。
< 102 / 320 >

この作品をシェア

pagetop