決して結ばれることのない、赤い糸
…しかし、そこにも隼人の姿はなかった。


前の黒板に貼り出されていた席順の紙を食い入るように見つめる。


隼人…、隼人……。


自分がどこの席かなんて、今はそんなことはどうでもよくて、【瀧隼人】という名前を探す。


「…あった」


ようやく見つけた隼人の席は、真ん中の列の一番後ろ。

その隼人の席の隣に書かれた名前に、徐ろに目を移すと――。


【広瀬かりん】


…わたしの名前があった。

それを見て、1年前のことが思い出される。



右も左もわからない、中学1年生。

入学してすぐの席は、隼人と隣同士だった。


あのときは、わたしが間違って隼人の席に座ってて、それを隼人に遠慮がちに指摘されて…。

すごく恥ずかしかったのを覚えている。


あれが隼人との出会い。


そのときは、なんとも思わなかったけど――。
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