決して結ばれることのない、赤い糸
「…そうだけど」


普段からわたしや優奈以外の女の子とは話さないカズは、ぶっきらぼうに答える。


「園田くんって、7組の瀧くん知ってる?サッカー部に入るみたいなんだけど」

「…瀧?」

「うん。瀧隼人くん!サッカーが超うまいらしいよっ」


突然出てきた隼人の名前に、次の授業の用意をしようとしていたわたしの耳が勝手に反応する。


「もし園田くんが仲いいなら、紹介してもらいたいな〜って思って」


すでに、隼人の噂は同学年の間で広まっていた。


7組にイケメンがいる。

しかも運動神経抜群で、サッカーがうまいらしい、と。


だから、この女の子たちも隼人の連絡先を知りたいのかな。

カズが隼人のことを知っているんじゃないかと思って、声をかけにきたようだ。


しかしカズは、表情を変えることなく答える。
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