決して結ばれることのない、赤い糸
「ごめん、知らない。名前は聞いたことあるけど、話したことないから」


…その言葉に、胸が痛む。


知らないはずない。

だって、カズと隼人は小学校からの親友だった。


だけど、そう答えないと隼人の記憶とつじつまが合わないから…。


顔には出さないけど、きっとカズは無理してああ言ってるんだ。


そのカズのつらい気遣いが、痛いくらいに理解できた。



放課後。


初めての部活は、とても楽しかった。

先輩たちはみんな優しいし、同級生もいい人ばかりだった。


今は、来月に行われるサッカー部の大会の応援曲を練習しているんだそう。


もしかしたらその大会で、隼人の姿を見ることができるかもしれない。


再会してからはただの顔見知り程度の関係だけど、それでも隼人の応援をできることがうれしかった。
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