決して結ばれることのない、赤い糸
そんなわたしの思いを聞い入れてくれて、カズは納得してくれた。


ケンカをしたとか、一方的に振ったというわけではない。

そうではないんだけど、わたしとカズの間には、まだ微妙なわだかまりが残っていた。


優奈は、このことは知らない。

だから、カズの名前に反応するわたしのことを不思議に思っているようだった。


カズと顔を合わせると、あのときのことが思い出される。


でも、間に優奈を挟んで、3人で2時間カラオケで熱唱したら――。

自然とカズとの関係が戻っていた。


「次の曲、かりんとカズが好きなやつでしょ?いっしょに歌いなよ〜!」


優奈が、わたしとカズにそれぞれマイクを手渡す。

それを手にして、思わずカズと照れ笑い。


なにも知らない優奈に感謝だ。



カラオケの帰り。

当たり前だけど、雨が止む気配はなかった。
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