決して結ばれることのない、赤い糸
「また、かりんと付き合うことになったって話したら、すごく喜んでくれて。俺の記憶が戻ったことも含めて、めでたいから祝わせろって言ってうるさいんだよ」


鷹さんは、ノリがよくて陽気な人だった。

だから、そう言ってくれている鷹さんの姿もなんとなく想像がついた。


「前みたいに、お盆休みなら『Falcon』も貸し切りにできるからおいでって」


『Falcon』とは、鷹さんが経営するバーの名前だ。

晩ごはんに、鷹さんに手料理を振る舞ってもらったのを覚えている。


「カズも優奈も誘って、遊びに行こうよ」

「うん!」


また4人で海水浴。

楽しみだなぁ。


そんなことを考えていたのだけれど――。


海水浴当日。

集合場所の駅に現れたのは、わたしと隼人の2人だけだった。


カズは、おばあちゃんの家に帰省。
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