決して結ばれることのない、赤い糸
鷹さんが難しい顔をして腕を組む。


「どうして?」

「このくらいの時間帯から電車の本数が一気に減るんだ。きたときみたいに、うまく乗り換えできるかはわからねぇぞ?」


調べてみると、鷹さんの言うとおりすでに電車は30分に1本の運行になっていて、家の最寄り駅に着くのは日付を跨ぐ手前になりそうだった。


「今からなら、電車で帰るよりも車のほうが速い。送れるものから送ってやりたいけど、…すでに酒飲んじまったからな。…わりぃ!」


顔の前で手を合わせる鷹さん。


そのとき、わたしのスマホが鳴った。

見ると、お母さんから着信だった。


〈…もしもし!?かりん、天気予報見た!?〉

〈ちょうど今見たところ!なんか台風の進路が変ったみたいで…〉

〈このままだと、明日は電車なんて動かないんじゃないの!?〉
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