決して結ばれることのない、赤い糸
〈たぶん…。だから、今から急いで荷物をまとめて帰ろうと思うの。でも、電車の本数も少なくなってて、家に着くのが夜遅くになりそうで〉


電話をしながら、隼人と顔を見合わせる。

隼人はコクンとうなずいてくれて、遅くなってもいいから今から帰ろうとしてくれていた。


〈それなら、今から車で迎えに行くから待ってて。そのほうが速いでしょ?〉

〈…え、いいの?遠いよ?〉

〈なに言ってるの。娘が困ってるっていうのに、放っておくわけないでしょ!〉

〈ありがとう、お母さん!〉


こうして急遽お母さんが、鷹さんのお店の『Falcon』まで車で迎えにきてくれることになった。


「かりんのお母さん、きてくれるって?」

「うん!だから、隼人もいっしょに乗って」

「ありがとう。でも、俺はいいよ。台風が過ぎるまで、鷹さんが部屋に泊めてくれるみたいだから」
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