決して結ばれることのない、赤い糸
そこにいたのは、…なんと隼人だった。


「…隼人っ」


とっさに漏れたわたしの声に、瞬時にカズが振り返る。


「隼人…、いたのか」

「カズ、こんなところでなにしてるんだよ。コーチがカズを呼んでこいって言うから探しにきたら…」


そうしたら、カズがわたしに告白する現場に居合わせてしまったようだ。


「なんか呼ばれてるみたいだから、もう行くな」

「う…、うん」


気まずそうに頬をかくカズだったけど、気持ちを切り替えて、隼人のもとへ駆け足で向かった。

だから、わたしは職員室へ。


そう思っていたら――。


「…さっきのなんだよ」


そんな隼人の声が聞こえた。

振り返ると、カズに詰め寄る隼人の姿があった。


「なんだよって、…なにがだよ?」


隼人の横暴な態度に、カズも反発している。
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