決して結ばれることのない、赤い糸
「…好きだからこそ、別れるんだ。もうこれ以上、かりんを好きになったらいけないから」

「どういうこと…?どうして、好きなのに別れないといけないの…?」


隼人の言葉に、わたしは理解できなかった。


ここから再スタートする。

そう思っていたのに、……なんでいっしょにいたらダメなの?


「もう、かりんに嘘をつきたくない。だから、正直に話すよ…?」


その隼人の声のトーンは、わたしにずっしりと重たくのしかかった。


いい話ではない。

そんなことは、この場の雰囲気からでは明らかった。


――だけど。

まさか、こんな結末が待っているだなんて…思ってもみなかった。



「…かりん、落ち着いて聞いて」


屋上に1つだけあるベンチに座って、隣にいる隼人がゆっくりと口を開いた。


「俺たち、…兄妹(きょうだい)なんだ」
< 284 / 320 >

この作品をシェア

pagetop