決して結ばれることのない、赤い糸

しかし、隼人は目を合わせてくれない。


なんで…なにも言ってくれないの。


不安の波が押し寄せる。


――そのとき。


「かりん…好きだっ」


そう言って、突然隼人がわたしを抱きしめた。

強く強く、まるで離さないと言っているかのように。


「…うんっ。わたしも好きだよ…、隼人！」


わたしも隼人の背中に手を回して、ギュッと抱きしめた。


隼人の想いが知れてうれしいはずなのに――。

不安な気持ちは解消されなきった。


なぜなら、わたしを抱きしめる隼人の腕が…震えていたから。


「…隼人、ちょっと苦しいよ」

「ごめん。でも、今だけはこうさせて。…これが、最後だから」


……え…？


「“最後”…って？」


わたしは、おそるおそる隼人を見上げた。

すると、隼人は今にも泣き出しそうな顔でわたしを見つめていた。