爽やかくんの為せるワザ



「佐賀ー」



そこへ敬吾くんが佐賀くんを呼びながらやってきた。


敬吾くんは近くまで来ると、教室のドアの方を指差しながら話し始める。




「なんか女子が呼んでる。5組?らしいけど、今廊下で待ってる」


「え……分かった。……ありがとう」




佐賀くんは少し首を傾げながらも、私達に「じゃあ」と言い残して教室を出て行った。



なんだろう?

女子が佐賀くんを呼び出し……って、


も、もしかして……告白!?




「いいなー。俺も女子に呼び出されたいなー」


「け、敬吾くん……今のって告白の呼び出しだよね?」


「え、まじで!?告白だったのかよ!!」




気付いてなかった様子の敬吾くんが、大きな声で反応する。


敬吾くんの声に数人クラスメイトがこちらに振り返ったので、私は慌てて首を振った。




「いや、分かんないよ!?そんな気がしたから……」


「佐賀も羽水も文化祭以来すげーモテてんなー」


「そうみたいだね……」


「成瀬聞いた?羽水が最近、ミスコン4位だった村本に告白されたの」




え……。

そ、そうなんだ。


村本さんが……藍くんに……。




「……知らなかった」


「断ったらしいけどさ。羽水がフリーで告白断るの初めててびっくりした」




え……断ったんだ。


……ちょっとほっとしてる自分がいる。

駄目なのに。


応援しなきゃいけないのに。


……好きだって自覚したら、余計にそういうの気にしちゃうなぁ。



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