爽やかくんの為せるワザ
「私……藍くんのことが好きです。
告白してくれて、本当に嬉しかった。
藍くんには拒否反応とか全然出ないし……むしろ、もっと仲良くなりたいって……思うっ」
男子と必要以上に仲良くなると拒否反応が出る。
でも、藍くんは違った。
……だってもう、こんなに好きなんだもん。
拒否なんて出来ないし、したくない。
心から藍くんのことを想ってるって、分かる。
こんな感情を抱くことが出来たのも、藍くんのおかげだ。
「あの……逃げた理由もちゃんと説明するから、」
「待って」
私の顔の前に掌を向けて、言葉を遮った藍くん。
きょとんとして藍くんを見上げると、彼は片手で口元を覆ってこちらを見つめていた。
「……それ、後で聞いてもいい?」
「え……いいけど、どうしたの?」
「俺今、ちゃんと話聞ける自信が無い」
え。
どういうこと……?
首を傾げて私はそんな藍くんを見つめ続ける。
すると、藍くんはゆっくり口元から手を離したのだ。
隠されていた藍くんの顔は、ほんのり赤く染まっていて。
胸がぎゅうっと締め付けられる感覚に襲われる。
「嬉し過ぎて……にやけが止まらない」
「……!」
「ねぇ珠姫ちゃん、抱き締めてもいい?」
静かに聞いてくれた藍くん。
私は何も言わず、ゆっくりと頷いた。