爽やかくんの為せるワザ




「なんなの……。あんたら2人で同じようなこと言って。

ていうか告白から逃げたくせになんでまだ藍くんの前に出て来れんの?」




藍くんを避けて、また私を睨む元カノさん。


私はうっと言葉を詰まらせつつも、なんとか元カノさんを見上げる。




「逃げたのは……ほんとに後悔してる。藍くんを傷付けちゃったし、迷惑も掛けちゃったし。

でも……私はずっと藍くんのこと好きだったの……!それをちゃんと話そうと思ってて、」


「あーあーうっさいなぁ。なにそれ、勝手過ぎじゃん。もうどうでも良くなってきたわ」




私の言葉を遮って、元カノさんは溜息混じりに言葉を吐き捨てる。


私と藍くんからふんと顔を逸らし、スタスタ歩き出して。




「どうせお互い両想いならあたしが何やっても無駄だし。もーいーわ、勝手にすれば」




立ち去りながら手を軽く振って、元カノさんは行ってしまった。



残された私と藍くんは、ゆっくりと顔を見合わせる。


2人になった瞬間、さっきまでの雰囲気がガラッと変わって、次第にドキドキしてくる。

……藍くんと、話すタイミング出来た。




「あ、藍くんっ」


「……うん?」


「告白してくれたのに、逃げちゃって本当にごめんなさい!

……私も藍くんのこと好きだったのに、ちゃんと向き合えなくて……本当にごめんなさい」




いざ話し始めると、また涙が溢れてきた。


藍くんのことになると、感情が溢れて涙腺がおかしくなるのかも。



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