爽やかくんの為せるワザ





保健室に着く前に先生に状況を確認された私達。

佐賀くんは「鼻血出てるだけですから大丈夫です」と言っていたので、先生も一応確認してたけど外傷はなかった為保健室までは同行しないことになった。


私が付き添ってたから任されたんだと思う。


まだ球技大会中だから先生も色々忙しいのかな。




「はい、これで大丈夫だと思う」


「……ありがとう」



ティッシュで鼻を押えたまま佐賀くんはぺこりと頭を下げる。


血が付いてしまった顔や靴をある程度綺麗に拭き取ってあげた。

幸いジャージには付いてなかったから着替えもしなくて済んだ。




「鼻血が治まったら私戻るけど、佐賀くんは休んでてね」


「え……僕も戻るよ」


「駄目だよっ。佐賀くん風邪でしょ?血も流してるし、悪化したら大変」


「……分かった……」



しゅんと俯く佐賀くん。

その姿を見て、私も思わず俯いてしまう。


……何を偉そうに言ってるんだろう、私。

そもそも佐賀くんをこんな風にさせてしまったのは、紛れもなく私じゃないか。




「……佐賀くん、痛い?」


「……え……」




顔を上げて佐賀くんを見つめる。

佐賀くんは少しびっくりしつつ、目を泳がせて再び俯いた。




「いや……もう痛くないよ……」


「そっか……ほんとに、ごめんね」


「……!だから成瀬さんっ、謝らないでって……」




少し怒った表情がこちらに向けられたかと思えば、すぐに佐賀くんは目を見開いて固まってしまった。


……う、私が涙目なの気付かれたかも。


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