爽やかくんの為せるワザ

「ふん、このことさぁ〜あたし藍くんに言っちゃおっかな〜」




にやにやと悪戯っぽい笑みを向けてきた元カノさん。


私はぐっと元カノさんに向き直り、真っ直ぐその目を見つめた。





「いいよ」


「……え、何あんた開き直った？」


「事実だもん、隠すわけないよ。

それに、私からも藍くんに話すつもりだから」




え、と眉間にシワを寄せて怪訝そうな表情を見せる元カノさん。

そして私はそのまま隣の佐賀くんに視線を移した。




「佐賀くん。佐賀くんは返事いらないって言ってくれたけど……やっぱりちゃんと言ってもいいかな？」


「……」



私をじっと見つめ返してくれていた佐賀くんは、何か覚悟を決めたようにふっと口元を緩めて。




「……いいよ」




そう言って静かに許してくれた。



……ありがとう佐賀くん。




「……私が好きなのは、この先もずっと藍くんだけなんだ……

だから、ごめんなさい」




私の言葉を聞いて、ゆっくりと頷く佐賀くん。

優しい表情の佐賀くんを見ていると、泣きそうになってくる。



……もう前みたいに佐賀くんと話せなくなるかもしれない。

でも私の答えを知ってて告白してくれた佐賀くんだって、その怖さはきっと持ってたはず。


勇気を出してくれた佐賀くんに、ちゃんと向き合わなきゃ。


だからどうか佐賀くんも……受け止めて欲しい。