爽やかくんの為せるワザ



「……藍、説立証だぞ」



額に手を当ててゆっくり首を振るカツくん。


な、何?

なんの説?なんの話なの??




「……珠姫ちゃん」


「は、はい!」




首に手をやり、少し言い辛そうに苦笑いを浮かべている藍くん。


何を言われるのか、私はもう気が気でなかった。




「昨日……日曜日ね、俺達昼頃遊んでたんだけど、たまたま珠姫ちゃん見掛けたんだ」


「……え!?そうなの!?」




……つまりお兄ちゃんといるとこ見られちゃった!?


こ、声掛けてくれればよかったのに……!

恥ずかしいっ。




「そう。
……それで、アクセサリーショップで一緒にいた人って……」


「ああ、それ珠姫の兄貴だぞ」




ずばっと私の代わりに言ってくれたのは沙羅ちゃんだ。

すると男の子3人は弾けるように沙羅ちゃんに顔を向けた後、ゆっくりお互いの顔を見合わせた。





「ほらー!やっぱり兄貴じゃん!」


「くっ……敬吾の言う通りだったか…」


「……説立証ならずだね、カツ。
ごめんね、なんか勝手にこっちで盛り上がっちゃって」




すかさずこちらに謝る藍くんは、さっきより少しだけ表情が明るくなったように見える。



……なんだろう。

説とかよく分かんないけど、まあ藍くん達だし問題はなさそう、かな?



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