爽やかくんの為せるワザ
と、その時。
「おい敬吾!携帯見ろっつの!」
教室の扉から聞こえてきた、聞き馴染みのある大きな声。
目を向けると、そこにはカツくんと藍くんが立っていた。
彼らはそのまま敬吾くんに向かって教室へ入って来る。
「え、カツ?……あ、ごめんごめん」
「たまちゃんに確認したか?」
「確認?何を??」
「アホか!昨日お前確認するっつっただろ!」
「……あ。ほんとだ、忘れてた」
あはは、と悪びれる様子もなく笑いのける敬吾くん。
対称的に、カツくんは大きく溜息を漏らして首を振った。
……〝確認〟?
しかも、私の事?
な、なんだろう。
「ごめんなたまちゃん、別に大したことじゃないんだけど……」
私へ振り返ったカツくんは手を合わせて申し訳なさそうに話し出した。
……と、思ったら。
カツくんは私の手元を見てぴたりとその動きを止めた。
ちらりと隣の藍くんも見てみるが、彼もまた停止していて。
敬吾くん含め、私達4人は状況を掴めずにただ首を傾げるだけだった。