冷たいキスなら許さない
***

控えめなノックの音に続いて少しだけ襖の開く音がする。

「おはよう、灯里ちゃ・・・」
「きゃーん~!」
「でかした、大和!!おとーさーん、おとーさーん。大和がぁー」

お母さんの大興奮するはしゃぎ声で目が覚めた。
社長、朝っぱらから何したんだろう。
バタバタと廊下を走るお母さんの足音に朝から元気だなとぼんやりとする頭を振った。

ん?

ぎゃー

「な、何でここにシャチョーがっ」

社長の腕枕で社長に包まれて寝ていた私。
う、嘘でしょう。
驚いて飛び起きた。

呆然とする私に「あ、しまった。あのまま寝ちまったか」と目覚めた社長が頭を掻きながら身体を起こした。

”しまった”じゃない~!!!!


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