冷たいキスなら許さない

私の泣き顔を見て目を丸くしている。

私の「どうして」と
社長の「何があった」
は同時だった。

社長の顔を見た途端に止まりかけていた涙が溢れ出す。
「だから、お前がきちんと連絡しないから」下北さんが呆れ声で大きなため息をついた。

私の方は徐々に怒りがこみあげてくる。

「何なのよ、このバカ社長」
「はげ、たこ、おたんこなすっ」
「ぼけ、くそったれ、あほ、すかたん」
私の口からこれでもかというほど次々と飛び出す罵詈雑言。
「連絡もしないで何してんのよ。おまけに社長のくせに秘書に黙ってカナダとかワケわかんないから！」

社長の顔を見た安心感と連絡を絶たれた不信感、いろいろな感情があふれ出て雪崩を起こす。
呆気にとられる社長に向かってとうとう啖呵を切ってしまう。

「私のことが邪魔ならもういらないって私に正面切って言えばいいでしょ、このビビりのヘタレ野郎ー！」