冷たいキスなら許さない
生ビールが届くといつもの癖でジョッキを持ち上げてカチンと合わせて乾杯してしまった。
「私たち一体何に乾杯したんだろう」
苦笑すると
「4年振りのデートだと言ったら灯里が嫌がるだろうから、今日の仕事も頑張ったってお互いの労いでいいよ」
櫂は口角を持ち上げた。
4年振りのデートね。
「4年振りじゃなくて4年半じゃないかな」
私が呟くと櫂がハッとした後で表情が少しだけ曇った。
「ごめん、嫌みのつもりじゃなかった。忘れて」
「いや、俺ホントにダメな男だったな。あの頃全然会う時間も作らないで仕事して灯里のこと外にも連れ出さないし。たまに部屋に呼び出すだけで」
櫂が遠い目をする。
「櫂。もういいから。そんなんじゃなくて。そんな事言いたかったわけじゃないの。私もごめん」
別れる前の半年はほとんどどこにも出掛けたりしていなかったのは本当だけど。
けれど、それは櫂の仕事が忙しかったし、私もまだ就職して1年で自分だってゆとりがなかった。
だから嫌味を言うつもりなんてこれっぽっちもなかったのに、口に出したら嫌味っぽくなってしまうとは。明らかに失言だ。
「私たち一体何に乾杯したんだろう」
苦笑すると
「4年振りのデートだと言ったら灯里が嫌がるだろうから、今日の仕事も頑張ったってお互いの労いでいいよ」
櫂は口角を持ち上げた。
4年振りのデートね。
「4年振りじゃなくて4年半じゃないかな」
私が呟くと櫂がハッとした後で表情が少しだけ曇った。
「ごめん、嫌みのつもりじゃなかった。忘れて」
「いや、俺ホントにダメな男だったな。あの頃全然会う時間も作らないで仕事して灯里のこと外にも連れ出さないし。たまに部屋に呼び出すだけで」
櫂が遠い目をする。
「櫂。もういいから。そんなんじゃなくて。そんな事言いたかったわけじゃないの。私もごめん」
別れる前の半年はほとんどどこにも出掛けたりしていなかったのは本当だけど。
けれど、それは櫂の仕事が忙しかったし、私もまだ就職して1年で自分だってゆとりがなかった。
だから嫌味を言うつもりなんてこれっぽっちもなかったのに、口に出したら嫌味っぽくなってしまうとは。明らかに失言だ。