全てを失っても手に入れたい女が居る
由美さんと入れ替わりに小野田さんが入ってきた。
「梨華ごめん!許してくれ!なにも知らなくて…苦しんでたのに…本当にごめん!」
「いえ…私が隠していたんで、小野田さんが悪いわけでは…」
「いや、ある程度は知ってた」
「えっいつから?」
「初めから…違うな、梨華を抱いたときからかな?」
「えっ?」
そんな前から?
「梨華の腹部の傷が気になって、耀一に聞いた」
「えっ腹部の傷…ずっと隠してたのに…」
「あのなぁ…いくら服を着ていても、遣ること遣ってれば気付くって言うの!
それで大体の事は知っていたんだ」
「えっでも専務に話したのは随分経っての事ですよ?」
でも、何故専務はそこまで知ってるの?
「耀一は前任者に聞いたらしい。耀一も詳しくは知らなかったらしいが、その傷のせいで婚約を破棄されたって事までは」
木村部長から…
「梨華は俺と離れて幸せか?」
それは…
「……」
「俺の幸せの為に離れるなら、それは間違ってる。
梨華と一緒に居ることが俺の幸せなんだ!
家族が欲しいと思ったのも相手が梨華だからで、誰でも良い訳じゃない。
梨華と離れた時点で俺の幸せは無くなる。
誰の為とかじゃなくて、俺は自分の幸せの為に梨華と居たい。梨華は?」