全てを失っても手に入れたい女が居る

「小野田さんと…幸せになりたい…でも、私…子供が…あなたに家族を与えられない…」

「子供が欲しくて梨華と結婚したいわけじゃない。もし、梨華がどうしても子供が欲しいと言うなら、養子をもらえば良い」

養子…?
考えてもみなかった。
家族とは愛し合ったもの同士が結婚し、血の繋がった子供が居て家族になれると思っていた。

看護師の紗季さんや由美さんが言うように、血の繋がった子供が居なくても家族にはなれる?

「他に不安な事はあるか?
この際何でも答えてやるから聞いてくれ?」

「えっと…病気のキャサリンさんは良いんですか?
恋人なんじゃ…?」

「キャサリンが俺の恋人!?
どうしてそうなる?」

「菱野専務と小野田さんが話してるのを立ち聞きして…
キャサリンの様態が、って…」

「ああ、あの時か?
確かにキャサリンはブロンドの良い女だな?
スタイルも良くて幾つものコンテストで優勝してるし、俺にベタボレだし、なにより誰かと違って素直に愛情表現してくれる。キャサリンが人間なら良いんだがな?」

「え?」

今、人間ならって言いました?

「あのなぁ…キャサリンはボスの家(とこの)犬だ!
めちゃくちゃシャンプーするのが嫌いで、どこのトリマーに頼んでもダメなんだけど、何故か俺だけには大人しくさせるんだよ?
いつも本社へ帰った時、洗ってやってたんだが、いつだったか、朝早くに連絡あってキャサリンが泥だけ帰ってきたから、洗ってやってくれって頼まれて、仕方なくだな…」

犬…
人間じゃなくて…
じゃー恋人じゃないの!?
様態って…犬の容姿の事?
病気じゃなかった…



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