全てを失っても手に入れたい女が居る

「じゃ、キャサリンさん?は犬であって病気の人でも、小野田さんの恋人でもないですね!?」

「ああ。俺が愛してるのは梨華だけだよ?
梨華は?」

「私も…」

彼は私の手を握り「ありがとう…」と言って手にキスをした。
その時、彼の瞳(め)には光るものがあった。

そして「もう、絶対にこの手離さないから覚悟しろよ!?」と嬉しそうに笑った。

私もこの手をずっと繋いでいたい。

「私…小野田さんと居たい」

あなたと生きていきたい。
限られた命でも
あなたと幸せになりたい。

ずっと…あなたが好きだった。
ずっと…あなたに愛してるって言いたかった。

「愛してる…私…小野田さんを愛してます…」

「ようやく言ったな?」

「時折連絡取れなくなったり、どれだけ俺が愛してるって言っても梨華は返してくれないし…今回も梨華に断られたらって、マジで心配してたんだぞ?」

「…ごめんなさい…」

「良いよ?
梨華の本当の気持ち聞けたから」

彼はそう言うと一枚の用紙を出し「これにサインしろ!」と、言った。

えっ!?

示し出された用紙は婚姻届の用紙。

「梨華は前科が有るからな?」

どこかで聞いたセリフ…
え?

「二度と逃げれないようにしないとな?」と小野田さんはニヤリと笑った。

サインするために少しベットを上げて貰い互いにサインすると、彼は病室のドアを開けた。すると母や兄夫婦、そして菱野夫妻が入った来た。

え!? なになに??
みんなどうしたの?

「みんなに証人になってもらう!
何事も最後の詰までやらないとな!?」と、小野田さんは言った。

恐るべし…

母と菱野専務に証人欄にサインしてもらい。彼の用意していたエンゲージリングを互いの薬指に嵌め、みんなからの祝福を受け、私達は誓いのキスをした。

一度は、手に入らないと諦めた。愛する人との結婚。
夢が叶って、あまりの幸せに涙し、思わず口から

「もう…思い残すことは無い」とこぼれた。

囁く程の小さな声だったが、彼は聞き逃さず「ふざけるなよ!?俺から逃げた罰は、これからしっかり償ってもらうからな!?」と、私の耳元で悪魔が囁いた。

!?!?…




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