転生少女が落ちたのは、意地悪王子の腕の中~不器用な溺愛は何よりも甘いのです~
「違う違う、まったく予想通り下手くそだな。こうして台に両肘をつく。そして頬を銃身につけて安定させる。じゃないとお前の事だから反動で顎にぶつけるぞ」
「う、ん……」
私はというと頷いたものの全然説明に集中出来ていなかった。
私を後ろから抱き抱えるようにしてグイード殿下が姿勢を正していく。思っていたよりがっしりしている胸板が背に密着する。手は簡単に私の手をすっぽりと包み込んでしまうほど大きい。少し癖のある金髪が私とは違う少し汗の混じった匂いと一緒にふわりと私の頬を擽る。近くで聞くとより低く聞こえる声が鼓膜を震わせる。
……全部、男の人だ。
「!」
ぱん、と乾いた音が僅かな振動と共に響く。それから数秒してからやっと自分が動揺に手が滑って引き金を引いてしまったことに気がつく。
「なにやってるんだ?」
「あ……はは、私向いてないかも。殿下残りはやってください」
怪訝そうな顔を向けてくるグイード殿下に銃を押し付ける。ぶつくさ言いながら構える彼の後ろで私は誤魔化すように頻りに前髪を引っ張って視線を落とした。
心臓の暴れ方は右肩上がりに激しくなっていく。心臓が飛び出そう、とはよく言ったものだと思う。今もし皮膚も服も全部突き抜けて出てきても私は多分驚かない。本当におかしい、おかしい……こんなにドキドキするのって、おかしい。
「───おい?」
ぽす、と柔らかいものが頭に載せられた。そのまま落ちてくるので慌てて受け止める。何かと思えばふわふわのショッキングピンクのテディベアだった。黒い硝子のつぶらな瞳がこちらを見つめ返している。
「やる。お前……さては俺の勇姿を見ていなかっただろう」
「……別にっ、見たくもないですし……」
嘘です。本当はちょっと見たかった。きっとこの人なら屋台の銃でも凄く様になったに違いない。
「う、ん……」
私はというと頷いたものの全然説明に集中出来ていなかった。
私を後ろから抱き抱えるようにしてグイード殿下が姿勢を正していく。思っていたよりがっしりしている胸板が背に密着する。手は簡単に私の手をすっぽりと包み込んでしまうほど大きい。少し癖のある金髪が私とは違う少し汗の混じった匂いと一緒にふわりと私の頬を擽る。近くで聞くとより低く聞こえる声が鼓膜を震わせる。
……全部、男の人だ。
「!」
ぱん、と乾いた音が僅かな振動と共に響く。それから数秒してからやっと自分が動揺に手が滑って引き金を引いてしまったことに気がつく。
「なにやってるんだ?」
「あ……はは、私向いてないかも。殿下残りはやってください」
怪訝そうな顔を向けてくるグイード殿下に銃を押し付ける。ぶつくさ言いながら構える彼の後ろで私は誤魔化すように頻りに前髪を引っ張って視線を落とした。
心臓の暴れ方は右肩上がりに激しくなっていく。心臓が飛び出そう、とはよく言ったものだと思う。今もし皮膚も服も全部突き抜けて出てきても私は多分驚かない。本当におかしい、おかしい……こんなにドキドキするのって、おかしい。
「───おい?」
ぽす、と柔らかいものが頭に載せられた。そのまま落ちてくるので慌てて受け止める。何かと思えばふわふわのショッキングピンクのテディベアだった。黒い硝子のつぶらな瞳がこちらを見つめ返している。
「やる。お前……さては俺の勇姿を見ていなかっただろう」
「……別にっ、見たくもないですし……」
嘘です。本当はちょっと見たかった。きっとこの人なら屋台の銃でも凄く様になったに違いない。