転生少女が落ちたのは、意地悪王子の腕の中~不器用な溺愛は何よりも甘いのです~
「そちらから手を出しておいて、おあずけとは……」

ゆっくりと焦らすように頬を滑る手に、私は堪らず声を上げた。

「や、やめてください!私っ……変なんです!」

「変?」

「グイードに触られたら、ドキドキして、息ができなくなって、なんかおかしくなっちゃいそうでっ……これ以上のことしたら……たぶん、我慢できない……」

自分があまりにもはしたないことを言っているとわかって、思わず涙目になる。

そんな私をしばらく見つめて、はあ、とグイードがため息をついた。

端正な顔が近づいたと思うと、止める間もなく、触れるだけ、一瞬だけのキスをされる。

「お前は……それが俺を煽るだけだとわかっていて言ってるのか?」

グイードの視線が下に移動していく。

「今日だって、なんだこのドレスは。俺がずっと我慢するのがどれだけ大変だったと思ってるんだ」

「え?でも侍女がこれくらい普通だって」

グイードが遠い目をした。

「……あいつら、謀ったな」

その言葉にどうやら自分は上手く乗せられてしまったらしいと理解した。急に羞恥を思い出し、手でグイードの視線を遮る。

「み、見ないでください……」

その腕をグイードが掴んだ。ぐいと広げられて顔が真っ赤になる。

「少々癪だが、お膳立てされて何もしないというのも勿体ないしな。
それに……俺もそろそろ限界だ」

王子はぺろりと唇を舐めた。

「恥ずかしいとわかって着ているわけだから、つまり俺を誘っていると受け取って良いわけだろう」

「ちが……ん……っ!」

グイードが噛み付くように唇を重ねてきた。何度も何度も口中を貪るようなキス。今まで随分手加減されていたのだと、今更のように悟る。

息ができない。肩が震える。視界が白んで、ものの数秒であっという間に意識が蕩ける。

後ろに手が回されるのがわかった。ぱちんとドレスの留め具が外される音が聞こえて、コルセットの紐がしゅるしゅると解かれる音がし始める。

「ちょ、っと、グイード……!」

息継ぎの間に絞り出した声に、王子は嬉しそうににやりと意地悪な笑顔を浮かべた。

「そろそろお前も素直に俺を求めればいい。他に何も考えられないくらい、よくしてやる────」
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