ただ好きだから


「行きたい所がある、付き合ってくれるか?」


お店を出て車に乗ったところで咲夜にそう言われ「うん、良いよ」と答えると再び発車した車。


今度は家とは反対方向に進んで行くと、30分ほどして街の中心街からは少し離れた静かな場所で車が停車した。


「レストラン?」

「あぁ、降りるぞ」


オレンジ色の壁に赤茶色のレンガ、周り一帯は可愛らしいお花で囲われていてとても素敵な空間。

咲夜の後に続いて店内に入ると、中はこじんまりとしていてそこまで広くはないけれど、たくさんのお客さんがいて人気なのがうかがえた。


ウッド調で落ち着いた雰囲気のあるこの店は、まるで森の中に来たような感覚にしてくれて、ドライフラワーやお洒落なキャンドルなんかで装飾されている。


「予約してる一条です」

「お待ちしておりました、こちらへどうぞ」


案内されたのは窓側の四人席。

予約してだという事は、今日は初めからここで私とランチをするつもりだったんだろうか。


席に着くと、テーブルには小さなかすみ草が飾られている。


「素敵…」そう小さく呟けば、目の前に座っていた昨夜の方からクスリと笑い声が聞こえて、そちらへ振り返ると目を細め私を見つめていた。


「メニュー、ハンバーグが人気らしいぞ」


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