ファンタジー探偵と学園祭
O学園脅迫事件
おしゃれな街中にある住宅街に、その探偵は住んでいる。

午後九時。外は暗く、道には誰もいない。

三人の男女がある一軒家の呼び鈴を押すと、「はい」と落ち着いた声が返ってきた。

「先日、依頼した者ですが……」

「ペローさんですね。少々お待ちください」

玄関のドアが開き、女性が出てきた。栗色の美しい長い髪をした知的な雰囲気のきれいな女性。

三人は一瞬で目を奪われてしまった。

「私がアイリーンです。どうぞ」

三人はリビングに案内され、「お座りください」と柔らかいソファを勧められた。三人はゆっくり腰かける。

「あの……あなたが噂の探偵ですか?」

女性がお茶を持ってきたアイリーンに訊ねると、アイリーンは「はい、そうです」と答えた。

「しかし、こう見えて私はまだ学生です。学生としての生活に支障が出ないように、探偵としての存在をもみ消してもらっているんです」

「では、この事件もあなたが解決したことは秘密ということですか?」

男性が訊ねると、「そうです」とアイリーンは頷く。

「わかりました。それでは、事件の内容を説明します」

アイリーンも「お願いします」と言い、椅子に座った。
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