ファンタジー探偵と学園祭
「私はO学園の理事長をしているペローです。O学園はお伽話の世界の者たちが通う学園であり、教員もお伽話と関わる者、または生徒と同じようにお伽話の中の存在です」

ペローがそう言うと、女性ともう一人の男性も自己紹介を始めた。

「私は校長をしている魔女です。魔法を使うことができます」

そう言いながら魔女は飲んでいた紅茶に魔法をかけた。茶色だった紅茶が一瞬で赤く染まる。しかし目の前で魔法を見ても、アイリーンの表情は変わらなかった。

「私は教頭をしているイソップです。よろしくお願いします」

イソップがぺこりと頭を下げる。

「私はアイリーンです。普段は学生をしています。よろしくお願いします」

アイリーンも頭を下げた。

「実は最近、こんなものが学園に送りつけられてきたんです」

魔女が茶色の封筒をアイリーンに渡す。アイリーンが中を見ると、手紙が入っていた。

『学園祭を中止しろ。さもなくば学園を爆破する。警察に言えば、生徒を殺す』

パソコンで打たれた字で恐ろしいことが書かれていた。

「ちょうど一ヶ月後にO学園では学園祭があります。生徒たちはがんばって準備をしているところです」

イソップが言う。

「このようなことをする人物に心当たりはありますか？」

アイリーンが冷静に訊ねると、三人は首を横に振った。

「では、このことを警察に言いましたか？」

「言うわけないでしょう！生徒の身が危険にさらされるようなことはしません！！」

ペローが激しく怒りながら言う。しかしアイリーンは表情を変えずに話しを続けた。

「この脅迫のことを生徒に言いましたか？」

「誰にも言っていません。知っているのは教員だけです」
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