しあわせ食堂の異世界ご飯2
最後のポイントに着いたシャルルは、無事にキノコを発見して収穫する。そのサイズは、シャルルの顔と同じくらいの大きさだろうか。
ピンク色のかさを持つ珍しいキノコで、甘い風味が特徴的な『ハレル茸』という名前のキノコだ。
自分の鼻先に充てて匂いをかぐと、とてもいい香りがする。
「はあぁ~、これは食べたら美味しそうです!」
まだ料理していないのに、よだれが出てしまいそうだ。アリアならば、間違いなくご馳走にしてくれるだろう。
大きなハレル茸をカゴに入れて、シャルルはすぐ引き返して山を下りていく。もちろん、もっと大きなキノコがある可能性もあるので周囲への注意も忘れない。
シャルルの足が速いということもあり、あっという間に山の出口までたどり着いた。
「あれ? アリアがいない……」
収穫を終えた参加者が多くいるが、なぜかアリアの姿だけ見当たらないのだ。シャルルが下山した道は間違っていないし、アリアを見逃して追い越してしまうことも考えにくい。
少し道を外れたところでキノコを探していたのだろうか。そんなことを考えていたシャルルの耳に、セレスティーナの声が聞こえてきた。
『あらぁ、それがシンシア様のキノコですか? 残念ですが、わたくしの方が大きいわね』
『……そんなっ!』
『優勝はわたくしで決まりね』
どうやら、会場に戻る前にこちらの決着はついてしまったらしい。
シャルルがふたりのキノコを見ると、シンシアは最初に持っていたもののまま。
セレスティーナは、アリアとシャルルが見つけたキノコより二回りほど大きいサイズのものを持っている。ちょうど、セレスティーナの顔くらいの大きさだろうか。
今のシャルルが持つキノコと、同じくらいの大きさかもしれない。いや、ほんのわずかに、セレスティーナのキノコの方が大きそうだ。
(ああああ~! やばい、やばいです! これではアリア様が負けてしまいます!!)
どうにかしなければと思うが、いかんせんアリアがいない。
制限時間も迫ってきているので、ひとまず探しにいかなければ。そう思ったが、セレスティーナとシンシアがアリアの話題を出したので思わず足を止める。
『わたくしの負けは認めるけれど、まだアリア様がいるわ』
『残念ですけれど、それは無理だわ』
『え?』
(ん?)
シンシアがアリアのことを告げると、セレスティーナはくすりと笑い首を振ったのだ。どうやらこのお姫様は、シャルルが知りえないアリアの情報を持っているようだ。
シャルルは会話を逃さないように、気配を消してセレスティーナへ近づいた。
『アリア様の情報は、尾行させていた騎士に報告をさせていたの。まあまあ大きなキノコを収穫していたから、西の方に大きなキノコがある……っていう情報を教えてあげたのよ』
『……? アリア様に有利な情報を渡したようにも聞こえるけれど、それとも西に何か危険があるの?』
訝しむようなシンシアに、シャルルも心の中で同意する。
別に、山の西方面へ行ったからといって、何か危険があるというようなことはないはずだ。ただ、段差などが多く歩きにくいという話は聞いているけれど……。
「ここから西は、ゆるやかな下り坂になっているの。加えて足場も悪いから、アリア様はきっと制限時間までに戻ってくることはできなくてよ』
『そういうこと……。もしそうなら、それはアリア様のミスだから仕方ありません』
『ええ。情報をどう使うかは、それぞれの自由ですもの』
話を聞き終えて、シャルルはなるほどと頷いた。
確かに直接的に罠にはめられたというわけでなければ、セレスティーナに非はないのだろう。
でも、心配するのでやめてほしかったです――と、シャルルは心の中で叫ぶ。
(とりあえず、西へアリア様を迎えにいかないと)
もし本当に帰ってくるのが辛い道のりならば、制限時間に間に合わなくなる。
(アリア様、どうか無事でいてくださいね!)
大きく地面を蹴りあげ、シャルルは西へ向けて駆け出した。
西へ向かうにつれ、木の密集度が上がる。それと同時に、セレスティーナが言っていたようにキノコが多く、気持ち大きめなものが目につく。
「でも、確かに下り坂になってる」
本当に少しずつなので、アリアではきっと気づかないだろう。シャルルは騎士団での訓練や、日ごろから鍛錬で森や山に入っていたからわかるのだ。
数十センチの小さな段差を何回か飛び越えたとき、こだました声がシャルルの耳に届いた。
「――――誰か助けて!」
ピンク色のかさを持つ珍しいキノコで、甘い風味が特徴的な『ハレル茸』という名前のキノコだ。
自分の鼻先に充てて匂いをかぐと、とてもいい香りがする。
「はあぁ~、これは食べたら美味しそうです!」
まだ料理していないのに、よだれが出てしまいそうだ。アリアならば、間違いなくご馳走にしてくれるだろう。
大きなハレル茸をカゴに入れて、シャルルはすぐ引き返して山を下りていく。もちろん、もっと大きなキノコがある可能性もあるので周囲への注意も忘れない。
シャルルの足が速いということもあり、あっという間に山の出口までたどり着いた。
「あれ? アリアがいない……」
収穫を終えた参加者が多くいるが、なぜかアリアの姿だけ見当たらないのだ。シャルルが下山した道は間違っていないし、アリアを見逃して追い越してしまうことも考えにくい。
少し道を外れたところでキノコを探していたのだろうか。そんなことを考えていたシャルルの耳に、セレスティーナの声が聞こえてきた。
『あらぁ、それがシンシア様のキノコですか? 残念ですが、わたくしの方が大きいわね』
『……そんなっ!』
『優勝はわたくしで決まりね』
どうやら、会場に戻る前にこちらの決着はついてしまったらしい。
シャルルがふたりのキノコを見ると、シンシアは最初に持っていたもののまま。
セレスティーナは、アリアとシャルルが見つけたキノコより二回りほど大きいサイズのものを持っている。ちょうど、セレスティーナの顔くらいの大きさだろうか。
今のシャルルが持つキノコと、同じくらいの大きさかもしれない。いや、ほんのわずかに、セレスティーナのキノコの方が大きそうだ。
(ああああ~! やばい、やばいです! これではアリア様が負けてしまいます!!)
どうにかしなければと思うが、いかんせんアリアがいない。
制限時間も迫ってきているので、ひとまず探しにいかなければ。そう思ったが、セレスティーナとシンシアがアリアの話題を出したので思わず足を止める。
『わたくしの負けは認めるけれど、まだアリア様がいるわ』
『残念ですけれど、それは無理だわ』
『え?』
(ん?)
シンシアがアリアのことを告げると、セレスティーナはくすりと笑い首を振ったのだ。どうやらこのお姫様は、シャルルが知りえないアリアの情報を持っているようだ。
シャルルは会話を逃さないように、気配を消してセレスティーナへ近づいた。
『アリア様の情報は、尾行させていた騎士に報告をさせていたの。まあまあ大きなキノコを収穫していたから、西の方に大きなキノコがある……っていう情報を教えてあげたのよ』
『……? アリア様に有利な情報を渡したようにも聞こえるけれど、それとも西に何か危険があるの?』
訝しむようなシンシアに、シャルルも心の中で同意する。
別に、山の西方面へ行ったからといって、何か危険があるというようなことはないはずだ。ただ、段差などが多く歩きにくいという話は聞いているけれど……。
「ここから西は、ゆるやかな下り坂になっているの。加えて足場も悪いから、アリア様はきっと制限時間までに戻ってくることはできなくてよ』
『そういうこと……。もしそうなら、それはアリア様のミスだから仕方ありません』
『ええ。情報をどう使うかは、それぞれの自由ですもの』
話を聞き終えて、シャルルはなるほどと頷いた。
確かに直接的に罠にはめられたというわけでなければ、セレスティーナに非はないのだろう。
でも、心配するのでやめてほしかったです――と、シャルルは心の中で叫ぶ。
(とりあえず、西へアリア様を迎えにいかないと)
もし本当に帰ってくるのが辛い道のりならば、制限時間に間に合わなくなる。
(アリア様、どうか無事でいてくださいね!)
大きく地面を蹴りあげ、シャルルは西へ向けて駆け出した。
西へ向かうにつれ、木の密集度が上がる。それと同時に、セレスティーナが言っていたようにキノコが多く、気持ち大きめなものが目につく。
「でも、確かに下り坂になってる」
本当に少しずつなので、アリアではきっと気づかないだろう。シャルルは騎士団での訓練や、日ごろから鍛錬で森や山に入っていたからわかるのだ。
数十センチの小さな段差を何回か飛び越えたとき、こだました声がシャルルの耳に届いた。
「――――誰か助けて!」