水の踊り子と幸せのピエロ~不器用な彼の寵愛~
「……お疲れさん」
「っ……碧さん」
「何泣いてるんだ、ばーか」
ピエロの衣装に着替えた碧が、波音の背後から肩を優しく叩いた。リラックスさせようとしているらしい。
てっきり、碧も波音を叱責するものだと思っていた。意外な励ましに、波音は更に涙を零す。
「だって……私、失敗しました。あんなに、たくさん……教えてもらったのに……」
「後ろから急かした俺も悪かった。でも、ああでも言わなければ、お前覚悟を決められなかっただろ?」
「……はい」
「後は俺の方でうまくリカバリーしておく。心配するな」
昨夜と同じく、最後にぽんと波音の頭を撫でて、碧は出演待機の為、舞台袖へと去って行った。
(こういう時に限ってすごく優しいなんて……ずるい……)
波音と碧のやり取りを見ていた渚と滉は、呆然と顔を見合わせた。碧の対応に驚いたのは、波音だけではなかったらしい。
「波音、あんた……いつの間に碧を懐柔《かいじゅう》したの?」
「……え?」
「あんな団長、初めて見た……」
「そ、そうなんですか?」
波音よりも遥かに長い時間、碧と共に過ごしてきた二人ですら、先程の碧の態度は見たことがないと言う。
「っ……碧さん」
「何泣いてるんだ、ばーか」
ピエロの衣装に着替えた碧が、波音の背後から肩を優しく叩いた。リラックスさせようとしているらしい。
てっきり、碧も波音を叱責するものだと思っていた。意外な励ましに、波音は更に涙を零す。
「だって……私、失敗しました。あんなに、たくさん……教えてもらったのに……」
「後ろから急かした俺も悪かった。でも、ああでも言わなければ、お前覚悟を決められなかっただろ?」
「……はい」
「後は俺の方でうまくリカバリーしておく。心配するな」
昨夜と同じく、最後にぽんと波音の頭を撫でて、碧は出演待機の為、舞台袖へと去って行った。
(こういう時に限ってすごく優しいなんて……ずるい……)
波音と碧のやり取りを見ていた渚と滉は、呆然と顔を見合わせた。碧の対応に驚いたのは、波音だけではなかったらしい。
「波音、あんた……いつの間に碧を懐柔《かいじゅう》したの?」
「……え?」
「あんな団長、初めて見た……」
「そ、そうなんですか?」
波音よりも遥かに長い時間、碧と共に過ごしてきた二人ですら、先程の碧の態度は見たことがないと言う。