水の踊り子と幸せのピエロ~不器用な彼の寵愛~
「今年も無事に終わるといいね。合宿」
「そうですね」
大和は、波音に何かを話したいようだ。生徒たちを見守るようにして、ごく自然に波音の隣に座った。今すぐにでも、大和に接触したいという女性たちがたくさんいるだろうに。
気後れした波音は、ほんの少しだけ、大和から距離を取った。
「碧の命日、今年も墓参り行くでしょ?」
「……うん」
「波音はまだ……碧のことが好きなの?」
「大和兄ちゃん、それ聞くの何回目? それに、今は仕事中」
小声での、秘密の会話。幼馴染み同士の時間に、一瞬だけ戻る。そういった話は、仕事中ではなく、プライベートな時間にしてくれればいいものを、なぜこんな人目がある場所で波音に聞いてきたのか。
不思議に思いながら、波音は大和の顔を見た。
(え……)
なんと例えたらいいのか。寂しそうな、苦しそうな――それでいて、その双眸《そうぼう》は熱をたたえて波音を見つめている。碧があのまま大人になっていたら、この顔にそっくりだったのだろう。
大和と碧の顔は、よく似ている。心臓がドクリと音を立て、波音はふと、顔を正面へと戻した。
「そうですね」
大和は、波音に何かを話したいようだ。生徒たちを見守るようにして、ごく自然に波音の隣に座った。今すぐにでも、大和に接触したいという女性たちがたくさんいるだろうに。
気後れした波音は、ほんの少しだけ、大和から距離を取った。
「碧の命日、今年も墓参り行くでしょ?」
「……うん」
「波音はまだ……碧のことが好きなの?」
「大和兄ちゃん、それ聞くの何回目? それに、今は仕事中」
小声での、秘密の会話。幼馴染み同士の時間に、一瞬だけ戻る。そういった話は、仕事中ではなく、プライベートな時間にしてくれればいいものを、なぜこんな人目がある場所で波音に聞いてきたのか。
不思議に思いながら、波音は大和の顔を見た。
(え……)
なんと例えたらいいのか。寂しそうな、苦しそうな――それでいて、その双眸《そうぼう》は熱をたたえて波音を見つめている。碧があのまま大人になっていたら、この顔にそっくりだったのだろう。
大和と碧の顔は、よく似ている。心臓がドクリと音を立て、波音はふと、顔を正面へと戻した。