クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
「正当なご褒美をもらう資格があると思います」

千石くんも引く気はないようだ。印象的な瞳が私を捉える。
うう、この視線、弱いのよ。そんなつもりないけど、見つめられるとドキドキしてしまう。

「真純さん、食事に行きましょう」

ふたりっきりになりたくない。
キスしてきて好きだって言ってくる相手とふたりきりで出かけるなんておかしい。
私は彼の好意に応える気はないんだから。むしろ、不誠実だ。

「食事くらい行ってきてくださいよー」

その声は真横から飛んできた。
心臓をばくばく言わせながら見やれば、そこには山根さんと持田さんの姿。

ああ、なんてこと。見られてしまった……。

「渉外グループ4人で行きましょうか!」

突然、持田さんが大声を張り上げた。
たぶん、彼女は私が困った顔をしているのを察したのだ。お節介くらい気のつくところがある持田さんは、私が千石くんに言い寄られてると思ったのだろう。
ピンポン、正解です!

すると、山根さんが不満げに声をあげた。

「え~?今回の功労者は誰がなんといっても千石さんじゃないですか~!毎日残業して毎日打ち合わせして、めちゃくちゃ大変そうだった。食事って真純先輩の奢りでしょう?ご褒美なんだし。奢りを受けるに値するのは千石さんひとりでしょ~」

一番若手の新入社員による一ミリも空気を読まないこのトーク!
ねえ、私の硬い空気伝わらない?
持田さんが気をきかせてくれたのわからない?
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