クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
「横手の主張は自分本位だし、今は頭に血が上ってるから、話にならない。今日は弟に迎えにきてもらって帰したよ。その後の昼休み、千石本人が須藤課長に話しにきてた。婚約の事実はないし、阿木さんはたまたま上司だから巻き込まれただけだって」

あらら、千石くん本人がフォローに回ったのね。さすがに悪いと思ってくれたってことかな。

「どちらにしろ、ご迷惑をかけた形で申し訳ないです。横手さんは……何もお咎めなしで、できたら……お願いしたいのですが」

正直に言えば、私の社内的立場をめちゃくちゃにしてくれた彼女に制裁をお願いしたい気持ちはゼロじゃない。子どもっぽい考えを社内に持ち込まれてすごく不快だし、彼女の主張は全部自分都合だ。私は認めたくない。
でも、まだ若い。これで将来の芽を摘むようなことになってほしくはない。
泉谷さんが頷く。

「うん、それは須藤課長も悪いようにはしないよ。横手の家、うちの社長クラスの裕福なおうちみたいでさ。どうも、いいところのお坊ちゃんと婚約の話が出てるみたいなんだよ。あいつ、それで慌てたんじゃないかな」

そんなことが裏であったんだ。
彼女は意図しない婚約に焦って、昔から大好きなお兄ちゃんとの間に交際の事実を作りたかったのかもしれない。千石くんなら、親御さんも文句を言えず婚約の話を取り下げるだろうって。
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