月光


「おはよう」


「あ、華夏おはよ!」


ほっとした。


教室にはまだ居場所がある。


挨拶が返ってくる。


そして、私は受け入れられている。


静かに胸をなでおろしながら結子と美沙の方へ向かった。


まだ瑠香は来ていない。


「ねえ、これ見てよ。

どう思う?」


見せられたのはキャラクターが可愛く写った画像だった。


「え、可愛いじゃん。」


「だよねだよね!

美沙が可愛くないって。」


「ええーまじで!

よく見てみなよ。」


「えー、あたしは普通かな。」


「あはは、美沙らしい。」


誰も知らない。


私の部活での状況を。


相談したところでどうにもならないことだってあるのだ。


きっかけは、なんとなく分かっている。


この前返ってきた漢字の振り返りテストの成績がテニス部の誰よりも圧倒的に良く、それを保坂さんは妬んで今こんなことをしているのだと思う。


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