キミへの想いは、この声で。

「茜……。新しい学校は、大丈夫そう?」


リビングに戻ってきたところで、お母さんが少しためらいながら、私に問いかけてきた。


その言葉で脳裏に浮かんだのは、クラスメートの表情 (かお) 。


眉をひそめ、近くの友達とひそひそ話を始め、とことんイヤな顔を私に向けてきたあの光景。


あの様子を大丈夫とは、とてもじゃないけど、言えそうにない。


だけど、もうこれ以上、お母さんに余計な心配はかけたくない……。


なにより、これ以上迷惑をかけたくない。


もう充分、イヤな思いをさせてしまったんだから。


『うん。大丈夫そうだよ』


私がニコッと作り笑いを向けると、お母さんは少しホッとしたように「そう……」と息を吐くような声で言った。


私はそれを確認すると、すぐに二階にある自室へと向かった。


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