キミへの想いは、この声で。

「ふぅ……。ただいまー」


扉が開く音と同時に、お母さんの声が聞こえた。


スマホをスリープ状態にさせて、テーブルの上に置くと、パタパタと廊下を走っていく私。


お母さんの前までやってきた私は、顔の近くまで右手をあげると、スッと動かして、ニコッと微笑んだ。


お母さんも目を細めて、優しく微笑んでくれた。


私が今、お母さんにしたのは手話。


手話でお母さんに、〝おかえり〟と伝えたんだ。


元から私は、ちいさい頃から手話を日常的に使いこんでいた。


理由はすごくシンプルなことで、私のおばあちゃんの耳が遠いから。


だから必死に毎日練習して、手話をマスターした。


まさか自分自身のために、使うときが来るなんて、思いもよらなかったけど。

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