キミへの想いは、この声で。

「あぁ!!ムカつく!茜!私らも行くよ!」


「頑張ってね、みんな」


後ろで聞こえる徳原くんのお母さんの声を聞きながら、私と優乃ちゃんは階段を上った。


上りきれば、視界に広がるのは三つの扉。


どこが徳原くんの部屋なんだろうって、私なら迷ってしまうところを優乃ちゃんは迷うことなく、手前の部屋を選んだ。


そこには、あぐらをかいて座る徳原くんの姿とローテーブルに勉強道具を準備している颯太くんの姿があった。


「お前らも、早く準備しろよ」


「……すっごい偉そうじゃん、直樹」


「まぁ、反抗するなら勉強教えてやんねーけど」


「教えてください、直樹様!!」


さっきまで腕を組んでいらだちをぶつけていた優乃ちゃんだったが、勉強という単語でそのイライラは取り繕った笑顔へと瞬時に変化した。

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