キミへの想いは、この声で。
そんなふたりのやりとりを見ながら、私は背負っていたリュックサックから勉強道具を取り出す。
「……んじゃあ、始めるか。
って、お前らな……、やる前から俺のほうを見るんじゃねーよ」
颯太くんと優乃ちゃんからの熱い視線に、徳原くんはあきれたように言った。
「お願い、直樹!
ここの問題、何度解いてもわかんなかったの!!」
そう言って優乃ちゃんは、問題を指差す。
……どうやら、優乃ちゃんと颯太くんは、冬休みの宿題を勉強道具として持ってきたらしい。
徳原は大きなため息をこぼすと、優乃ちゃんのそばにいき、解き方を教えた。
その最中、どことなく優乃ちゃんの頬が赤く染まっているような気がしたのは、私と颯太くんだけのヒミツ。