チャラめ男子と鈍感女子
「今日のところは、ここで失礼しますよ…ではまた」
乱れた襟元を正しながら平然とそう言うと、赤羽は屋上を後にしようとする。
追いかけようと前に進もうとしたけれど…
後ろから引っ張られる感覚。
振り向けば、エミリーが俺の服の裾を掴んでいた。
「行かないで、下さい…」
上目遣いでこっちを見上げる彼女に、俺の思考はフリーズ!
そのまま動かず(動けず)、二人して見つめあっていた。
「ごめんなさい、片瀬さん…」
「え?何が?」
しばらく経った頃、いきなりエミリーに頭を下げられた。
何か謝られることされたっけ?