チャラめ男子と鈍感女子


俺は上着を脱いで、それをエミリーの肩にそっと掛けた。



「それ、着ときなよ」


「でも、片瀬さんが寒いじゃないですか!」



俺に上着を返そうとするエミリーの手に、自分の手を重ねた。



「俺は大丈夫だから…ね?」


「…スミマセン。ありがとうございます」



お礼を述べるエミリーに笑みを返すと、俺はどうすれば出られるかを考えはじめた。


まず、『連絡する』という方法は使えない。


ここの風紀委員は厳しくて、毎朝持ち物検査をする徹底ぶり。


その為、ケータイやスマホを持ってくる奴はほぼ居ない(持ってきても没収されるし)。


そんな訳で寮に置きっぱなしの通信機器に頼れるはずもなく…


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