チャラめ男子と鈍感女子
夕焼けで店内に注がれていたオレンジの光がなくなり、店の明かりが煌々と照らされ始めた頃。
時計を見ると、もう18時を迎えようとしていた。
「エミリー…そろそろ18時だよ?」
「え?…い、いつの間に!? もう帰らないといけませんね」
まだ机に積み上がっている本を見ながら、寂しそうな表情を浮かべるエミリー。
「また来ればいいよ。学園からそんなに離れてないしね?」
「そうですね…また来ましょう!」
そう言いながらも文庫本を一冊一冊戻す彼女からは、哀愁が漂っていた。
「今日は色々と連れていってくれて、ありがとうございます!」
駅前にあるモールから寮へと帰る途中に、エミリーが急に立ち止まりお礼を言う。
「それは俺の方だよ! 今日一日付き合ってくれてありがとね?」