覚悟はいいですか

それから兄とも連絡を取り、相談の上、追加の応援を依頼した
細かい部分は紫織の都合も聞きながら決定することになったがーーー

「俺が聞いて、志水に言えばいいだろう!?」

合理性を盾に話す志水と、なるべく他の奴を紫織に会わせたくない俺の意見が対立する

「それでは二度手間ですし、顔合わせも必要でしょう
百鬼がいきなり現れて冷静でいられる女性がいますか?」

百鬼がちょっと傷付いた顔をした

「百鬼は連れて歩けないだろ。陰で見守るなら会わなくても……」

百鬼が更に傷付いた顔をしたので、途中で言うのをやめた

「いざという時、味方だと迷わず頼ってもらえるように、最低でもジョルジュと百鬼は顔合わせが必要です!」

「…ジョルジュは目立つだろ、護衛にならない」

「あなたが一番目立ちます!!一般人に送り迎えがつけばある程度の注目は想定内ですが、この前のように人だかりができては警護もままならない」

それは紫織をバレエ公演に誘った時のことだ。撮影か何かと勘違いした人がかなり集まり、一時護衛チームと離れてしまった。
目的地は解っていたからすぐ合流して問題なかったが…

ジョルジュは日系のフランス人で、目元が切れ長で彫りの深い整った顔立ちだ。肩まである黒髪を後ろでひとつに縛り、やや細身だが長身の方だろう。エキゾチックで日本人離れした容貌は目立つ上、笑うと目尻が下がり甘い顔になる。エスコートも本場仕込みだからよくもてる

今まで陰で見守るだけだからあまり心配なかったが、二人を一緒にさせるなんて不安だ、
不安しかない!
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